男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。 機動戦士ガンダム キシリア・ザビ
「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。」は、機動戦士ガンダム 第24話「迫撃トリプル・ドム」内での1シーンでキシリア・ザビのセリフです。
キシリア:「おふざけでない!まったく問題にならぬプランです!地球連邦軍の包囲の中からマ・クベはどれだけ貴重な資源を送り届けてくれたか、お忘れか?モビルアーマーの実用化もすべて」
ジオン将校A:「おそれながら、それでありましては軍の権威が」
「う・・・うわっ・・・」
キシリア:「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。その上であなたの面子も立ててあげましょう。地球での白兵戦用のモビルスーツはシャア中佐にまわす手立てをつけなさい」
ジオン将校B:「しかし、今すぐという訳には」
キシリア:「当たり前です。シャアがマッドアングラー隊に降りるまでに間に合えばよい。それにだ、各部隊に配属中の重モビルスーツで地球の戦闘に耐える物があるはずです、それをまわす事も考えるべきでしょう」
ジオン将校B:「あ、はあ」
キシリア:「ドムをまわしましたか?三連星に」
ジオン将校A:「は、既にマ・クベと合流すべく衛星軌道より発進した頃でありましょう」
キシリア:「それでよい、それで。すべて臨機応変にな」
この第24話は、オデッサ作戦開始間近の戦況下でのジオン、地球連邦双方の軍議から始まります。
ジオン側の会議内容は定かではありませんが、キシリアの部下であるマ・クベへの支援が滞っている様子で口答えした将校を平手打ちします。
そのうえで
男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。
と言い放ちます。
キシリアが現代社会にいれば大企業のCEOか
マ・クベを助けるため、もあるようですが、何よりもその先の大きな結果、戦果を求めるための指揮官らしい発言です。
目的達成のためには、手段をえらばない、男子のメンツや軍の権威などは実態のないものであって、そんなものにこだわるより目的達成を最優先する。
見栄より実をとる、このあたりは女性らしいともいえます。
ドズル中将もコンスコンも、目の前の敵しか見ておらん。その点キシリア殿は違う
上の台詞は、機動戦士ガンダム 第34話 「宿命の出会い」内でのシャアの発言です。シャアも先見性と戦略家の一面を持つキシリアには一目おいていました。
キシリア・ザビが現代のビジネスパーソンであれば、大企業のCEOになっていてもおかしくない器のでかさですね。心に残るセリフです。
マチルダとの対比
この回では、地球連邦軍のマチルダがカイ・シデンの要望を受けて、みんなで集合写真を撮影するシーンもあります。
男の将校を平手打ちするキシリア・ザビ と 男に囲まれて写真に収まるマチルダ
子供向けロボットアニメとしてみれば、敵と味方がわかりやすい対比となっています。
機動戦士ガンダム以前のスーパーロボットものであれば、あきらかに地球侵略を狙う宇宙人的な敵とたたかうヒーローが主人公でした。
しかし機動戦士ガンダムでは、人間 が 人間 と戦う戦争アニメ。戦う双方に理由があります。地球からの独立を目指したジオンのほうに正義があるようにもとれます。
そんな中で怖い女性と優しい女性という対比は、どっちにつくかという点で子供にとってわかりやすい。ま、子供でなくとも、やさしいマチルダさんのほうがいいですけどw
このあとマチルダさんは黒い三連星のジェットストリームアタックをミディアで阻止し戦死。
「マチルダさん マチルダさん マチルダさん マチルダさん マチルダさぁーーーーん」のアムロ名シーンに繋がります。
キシリアのアメとムチ
キシリアの話に戻ると、平手打ちをくらわしたあと、ドムを三連星にまわしたか の確認に対して順調にことがすすんでいる報告をうけ
それでよい、それで。すべて臨機応変にな
と穏やかに労います。
平手打ちからのお褒めの言葉。
見事なアメとムチ。
やはりキシリア・ザビが現代に生きていれば、男どもを使いこなすバリバリのキャリアウーマンになっていたことでしょう。
キシリア・ザビが登場する回は多くはないですが、冷徹さと情 を併せ持った怖い女性指揮官であることを印象づけた回でした。
君はもう読んだか?
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 安彦良和
2001年から2011年にかけてガンダムエースにて連載。全24巻 通常版
TVアニメでは描かれなかった、シャアの生い立ち、士官学校でのガルマとの出会いが詳しく描かれています。シャア・アズナブルはなりすまし!? ガルマはやっぱり坊やだな、などなど新たな発見が。
またザビ家の面々もより深く詳しく描かれていて面白い。アニメには登場しないサスロ・ザビや、ザビ家の黒幕はギレンではなくキシリアが暗躍する点など興味深い。
さらにはジオンのモビルスーツ開発の裏側やランバ・ラルとダイクン家のつながりなど、ニュータイプの登場などファーストガンダムの世界がよりリアルに鮮明に迫ってきます。
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